2020年7月14日火曜日

Googleのインドへの1兆円投資に注目

GoogleのCEO、Sundar Pichai氏がインドのモディ首相と電話会談して、今後5-7年間でインドに約1兆円の投資をして、インドのインターネット環境の向上に貢献すると語ったことが大きく報じられている。これがどれほど成功するかは未知数であるが、成功すれば世界経済に大きな影響を与えるだろうと私は考えている。
その理由はインドのポテンシャル、特にソフトウェア系のポテンシャルに私は極めて高いものを感じているからである。現在世界を牽引している大企業GAFA+Mのうち、GoogleとMicrosoftのCEOはインド生まれ、インド育ちでアメリカの大学で学位を取ってGoogleやMicrosoftに就職した人物である。以下二人の経歴を簡単に紹介する。
Sundar Pichai(スンダ―・ピチャイ)は1972年にインドのチェンナイで生まれ、インド工科大学卒業後、奨学金でスタンフォード大学に入学している。中途退学してApplied Materialに入社し、ウォートン校でMBA取得の後、マッキンゼーに入社して、2004年にGoogleに入社している。Googleでブラウザの Google Chrome、次いでChrome OSの開発を成功させ、2015年に持ち株会社Alphabetの設立に伴い、創業者のLarry PageからGoogle CEOを引き継いでいる。2019年にはLarry PageからAlphabetのCEOも引き継いで、現在は名実ともにGoogleのCEOとなっている。インドの内情、インド人気質を良く知っているSundar Pichaiがインドへの巨額投資を決定したことで、成功の可能性は高いと思っている。
MicrosoftのCEO、
Satya Nadellaは1967年インドのハイデラバードで生まれ、インドのマンガロール大学卒業後、ウィスコンシン大学に入学後、サン・マイクロシステムズを経て1992年にMicrosoftに入社、2014年、MicrosoftのCEOに就任している。
全産業を通じて世界を代表する企業であるGoogleとMicrosoftでインド生まれ、インド育ちの二人がトップに立つ、それもSatya Nadellaは入社22年、Sundar Pichaiは入社11年でCEOに着任するということにはアメリカ企業の懐の深さを感じている。トランプ大統領はこのような状況を阻止しようとしており、彼が11月の大統領選挙で勝つようならアメリカの国力は大幅に下がるだろうと思っている。
それはさておき、ここで注目したいのはインド人二人の能力の高さである。いわゆる学力で言えばSundar Pichaiのほうがかなり上のようだが、Satya Nadellaは落ち目だったMicrosoftを立て直したという大きな業績を上げている。インド育ちでありながらアメリカ社会に溶け込んで周囲からも信頼される人物になっている。CEOになるというのは並みの信用とは次元の違う信頼を得ているのだと私は思っている。
インドの人口が13億人を超えていること、インドはソフトウェアに強いバックグラウンドを持つこと、産業全体の中でソフトウェアの付加価値が今後一層高まっていくことを考えると、インドが日本よりもはるかに重要な国として注目を集める日はいずれ来ると考えられる。
今回のGoogleの動きはそのための極めて有効な布石になる気がしている。

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