高市総理が通常国会の初めに衆議院の解散を決断した。私の予想よりも早かったが、いずれ解散総選挙になるとは思っていた。多くの人が自民党が議席を増やし、立憲民主党が大きく議席を減らすと思ったようで、解散の報道以来、日経平均の株価は大幅に上昇している。立憲民主党は公明党との統合を検討しているが、仮に統合したとしても、統合後の議席数が現在の立憲民主単独の議席数まで行けばよいほうだと思うし、遠からずまた喧嘩別れすると思う。自民党が単独過半数に達するかどうかは分からないが、議席を増やすことは間違いないだろう。つまり、株式市場が予測しているように安定した第2次高市政権が誕生するのは確実だと思う。
安定した高市政権が日本にとって良いかどうかは全く別問題である。政府支出を増やし、インフレ政策を取るので、見た目でGDPが増えて景気が良くなるように見えるが、円安が進み、ドルベースでのGDPは伸びないだろうと思う。ここ数年の円安で海外からのインバウンド旅行者は大幅に増えたが、輸出はわずかしか増えていない。これは日本製の製品の競争力がじり貧を続けている証しだと思う。私のように資産の大半が投資で預金は少ない人にとっては良いのだが、多くの人は物価高に苦しむだろうと思う。高市政権は物価高対策として、物価の上昇を抑える政策ではなく、困っている人にお金を配る政策を取っているので物価の上昇は止まらないだろう。
高市総理の経済政策の目玉は経済安全保障で、17の戦略分野を列挙しているが、どうも他国に意地悪をされても困らない体制を作ることが目標に見える。しかし、日本はエネルギーも食料も自給できるレベルにないので、自給体制を作ることは本質的に無理である。それよりも、経済安全保障の観点でいえば武器を持つことが重要だと私は考えている。ここでいう武器とは日本が供給を止めると世界の主要国経済に大きな痛手を与えるものである。例えば中国のレアアース、韓国のメモリ、台湾の半導体製造である。これに対して日本は明確な武器を持っていないように思える。トヨタの自動車は世界シェアトップであるが、トヨタが自動車の供給を止めたとしても世界が困るようには思えない。
現在の日本に必要なのはまず、一つでよいから武器と呼べる経済分野を作ることだと思う。武器となる分野はまず一つ確立することが重要で、17分野もの戦略分野を決めることは武器と言えるレベルまで育てる気が無いことを示しているように私は感じている。また、今決められている17の戦略分野の中に武器と呼べるレベルまで育つ分野があるのかも疑問である。本気で武器となる分野を検討しれば違った分野が見つかるような気がしている。また、以前書いたのだが、日本企業の競争力が低下している本質的原因は投資の不足にあるのではなく、変化を嫌う日本の文化にあると私は思っているので、仮に投資に成功したとしても日本経済全体の底上げにまで至るのは難しいと思っている。文化を変えるという議論は始まってすらいない気がする。
前回のブログで私は「高市総理の外交に期待する」と書いたがこれはどうも難しいと今は感じている。これは高市総理の外交能力が私の期待に沿っていない、ということでは無く、トランプ政権に対する適切な対応が非常に難しく、高市総理の間は日本はアメリカの子分という見方から抜け出せないのも仕方がないと思うようになった、ということである。ベネズエラ問題に見るような米国トランプ政権の軍事力行使に対しても、高市総理も何も発言できていない。安倍晋三元総理なら何かうまい言い方をしたように思うが、現在ではこの人ならうまくやるだろうという人も私には思い浮かばない。