2021年1月6日水曜日

マイクロマネージメントの弊害

 COVID-19の新規感染者数は連日最高人数を更新し、腰の重い政府もついに緊急事態宣言を発するに至った。しかし、少なくとも菅総理の発言を聴いている限り、感染拡大防止はなかなかうまくいかないように思う。

私が最も気になっているのは、菅総理が「飲食店の終業時間を午後8時からに早めるように自治体に要請している」と発言している点である。メディアは「菅総理と小池都知事が責任の擦り付け合いをしている」と報じているが、私は菅総理の問題が大きいと思っている。そもそも、飲食店に終業時間を早めるように要請するのは自治体の責任であり、政府がもし「それを要請するべき」と考えるのなら「終業時間を8時に早めるように」と発言するのではなく、「自治体が終業時間を早めるよう要請がやり易いように、補償金は政府が用意する」といった発言をするべきである。「終業時間を8時に早めるように」は私がこのブログで何度も書いている下位者の仕事に直接口を出す「マイクロマネージメント」の典型例である。

しかし、「午後8時の要請は是か非か」という議論はたくさんあるが、マイクロマネージメントの議論は聞かない。日本では権限と責任の認識が薄く、「上位者ならば何でも決められる」という意識が強いからだろうと私は思っている。本来は、どの対策は政府が行い、どの対策は知事が行い、どの対策は市町村長が行うべきか、を政府が整理して明らかにするべきであるが、感染が問題視され始めて1年近くになるのに、いまだに整理がされておらず、各自が勝手に動こうとしている点が効果的対策を妨げているように思う。

菅総理の悪口ばかり書いているようだが、良い点もあると私は感じている。今日の日経に「厚労省の改革に向けて政府が動き出す」という記事があったが、この点には賛成である。厚労省の医療官僚のこれまでの動きは極めて悪い。現在はあまり問題視されていないが年金などの構成かんりょの動きも悪い。これは以前から問題視されていたことで、何人かの大臣が改革を試みたが皆失敗している。失敗の典型例は民主党政権時代の長妻大臣である。菅総理はこの種の問題に対しては強力に推し進めるのではないかと期待している。但しこの問題は1年以内に大きく進むとは考えにくく、今年の総選挙でどういう結果が出るかに大きく左右されるだろう。