2014年12月1日月曜日

囲碁界の巨星「呉清源」の訃報

「ウィトラのつぶやき」はこれまでOCNのGooブログを使っていたが、Googleのブログに引っ越そうかと考えている。しばらく、Google Bloggerを使ってみて良いようならそのまま使うし、良くなければGooブログに戻ろうと思っている。

昭和の囲碁界の巨星「呉清源」が11月30日に亡くなった。100歳で老衰死ということなので天寿を全うしたと言えるだろう。1928年に中国から才能を見込まれて来日し、1984年に引退するまでに数々の記録を打ち立てている。日本の囲碁界は現在70歳から60歳くらいまでの間の層が厚く、この人たちがトップであった30年ほど前は世界でも日本がダントツだった。

呉清源氏はこれらのトップ棋士から「天才」「神」と言うようなイメージで捉えられていた第1人者だった。私自身、棋士の中で「聖人」の言葉がふさわしいのは歴史を通じて呉清源氏が第1だと思っている。私が囲碁に打ち込み始めた大学時代、呉清源氏は既にピークを過ぎていて、主に過去の棋譜を並べて鑑賞したのだが、それでも天才ぶりは伝わってきた。観戦記者が「勝つことに全力を尽くしていて、かつ着手が艶を失わぬ」と書いているが、まさにそんな感じである。

テレビのNHK杯等にも出ていた。全盛を過ぎていて優勝などはしなかったが、見ていて呉清源氏の対局にはひらめきが感じられ面白かった。印象的だったのはテレビに出る時に必ず詰襟の服を着ていたことである。50年以上日本に住んでいても中国人としてのアイデンティティを保とうと言う意識だったと思う。

俳優の高倉健氏が亡くなって、中国からも大きな哀悼の言葉が寄せられていると聞く。しかし、呉清源の位置づけは私は高倉健以上だと思っている。歴史ある芸能分野で、しかも世界中で日本で最も盛んであった分野で、あらゆる日本人を越えて最も尊敬される人物が中国人である、というのは極めて稀だろうと思う。全ての人が呉清源を第1と考えている訳ではないが、日本人囲碁ファンの3割くらいの人は「歴史上呉清源が最高」と考えていると思う。

呉清源に匹敵するのは相撲の横綱白鵬くらいだろうか。