2020年8月29日土曜日

安倍政権を総括してみる

 安倍総理が辞任を発表した。今年に入って、安倍総理の動きに精彩がなく、辞任の速報が流れた時に私の頭をよぎったのは「体調が悪かったから今年は精彩が無かったのか」「コロナ対応を誤ったことがストレスになり体調を悪化させたのか」と思っていたのだが、記者会見を見る限り後者のようである。時に緊急事態制限で経済に非常に大きなダメージを与えて感染拡大を抑え込んだにもかかわらず、解除されるとまたすぐに感染拡大が始まった点は失敗に間違いなく、私は検査不足が原因だと確信している。

ともかく、辞任は確定したので安倍政権の業績を振り返ってみよう。実は私は2018年の5月に「安倍政権を評価すると・・」という題名で安倍政権を評価したブログを書いている。基本的な見方はその時と変わっていないが、その後2年間で評価が下がっている。その点を中心に書いてみたい。

経済政策は55点である。前回は60点だったが、この2年間で点数が下がった。民主党政権から安倍政権に移ってはじめのうちは日銀の資金供給と公共投資で景気が上向いたが、その後経済の足腰を強くする成長戦略はうまくいっていない。この2年間はそのうまくいかない状態が続いて日本の国際競争力も下がり続けている。

外交政策は60点である。これも前回の70点から下がった。これも民主党政権時代に世界的に存在感の無くなった日本のトップとしての立場を世界各国のトップと面談して存在感を取り戻した点は良かったのだが、この2年間は成果と呼べる内容がない。企業のトップでも、日本人は「まず仲良くなる」ことを目指してそれを実現することはできるのだが、その後交渉をまとめることはできない人は多い。総理でなくなった安倍議員が今後世界でどのように受け入れられるかを見れば、相手は安倍氏の何を見て仲良くしていたのかが見えてくるだろう。

農業と観光は前回と変わらず80点である。この2分野に対する当事者の取り組みの意識を変えたのが安倍政権の業績と言えると思っている。

教育、福祉、医療は45点である。前回は50点だったのだが無策が続いて問題が顕在化する段階に来ていると思う。次の総理は大変苦労すると思うが、原因は安倍政権時代にあると思う。

国防・防災は65点で前回と変わらない。全体的にしっかりやっていると思う。特に最近の河野防衛大臣の「イージスアショアの配備中止」「次期戦闘機の自力開発」「中国・韓国に対するしっかりした発言」などは、日本が本当の独立国に向かっていることを感じさせる。安倍総理の意見が入っているのか、河野氏独自の動きなのかは不明であるが・・

全体としては60点で2年前の65点から下がった。アメリカが孤立政策を強めている中で、日本はどうするべきか、方向性を打ち出せていないと感じている。

次期総理に関しては私の中では河野防衛大臣に対する評価が高まっているが、これは国会議員の中で決めることなので、静観する。マスコミが大好きな「誰が誰とくっつくか」と言った議論は私は好きではない。

2020年8月25日火曜日

落ち着きが戻ってきた夏のおわり

 この夏も猛暑も一段落して、過ごしやすくなった感じがする。私は最近は朝5時半心に起床、6時半前に家を出て、9時頃にウィトラのオフィスに付くのだが、家を出た時の日差しは弱弱しく、影が長くなって日陰を歩くのが容易になった。今週から神奈川県立の高校は授業が始まっていて、歩いているとミニスカートの女子高生を眼にするようになった。「秋が近い」という感覚である。
2時間も歩くと、疲れが出てくるのだが、疲れの出方が今年は少しいつもと違う気がする。昨年までは足の下部全体がだるいように感じて、足を台に乗せるなどして心臓より高くすると疲れが取れる感じがしていた。今年はだるさは感じない代わりに足の裏が痛くなってくる。足の裏の周辺部に歩くたびに小さな痛みを感じる。ウィトラのオフィスについてストレッチをすると痛みは軽くなるのだが完全には取れない。椅子に座って仕事をして2時間ほどするとずいぶん楽になり、帰るころには痛みは無くなるのだが、歩いていると若干の違和感は残る。夜寝て、朝になると違和感もなくなる、という生活を繰り返している。

COVID-19の新規感染者数は確実に減少している。これは検査不足と言った問題ではなく、8月の人の動きがいうえに皆が用心しているからと言って良さそうである。夏休みもゴールデンウィークと同様に家の近くで過ごした人が多かったことだろう。今週から夏休みが終わって活動が本格化する人が多いと思うので今週の木曜日くらいに新規感染者数が増えなければ全体として収束に向かっていると言えるのだろう。

この結果は、企業がかなり活動を自粛するとともに、個人も夜の街に出歩くことを控えた結果であって、これを続ければゆっくりと感染者数は減少していくだろう。しかし、それをいつまでも続けることができるのか、少し活動が活発化するようならばまた急拡大すると思う。私自身は高齢者に属するので、できるだけ公共交通機関は使わないようにしようと思っている。

良くテレビなどで「人に会わないのでストレスを感じる」と言っているが、私自身は殆ど人に会っていないがストレスは感じていない。リアルで会うのは家族以外は週に1度ほど買い物をするくらいで、外食も全くしないのでかなり安全性は高いと思っている。

他人との接触は、ウィトラの顧客に遠隔でプレゼンしたり会議したりするくらいだが、最近始めた遠隔の囲碁会が楽しみになっている。以前から「ネット碁」のサイトは複数あったのだが、これは世界中の見知らぬ人と対戦するシステムである。これに対して私の参加している「テレ碁」は、閉じた仲間同士で対戦するものである。碁盤を提供するアプリとZoomを併用しており、使い方が分からないときなどはZoomで会話して詳しい人に教えてもらう。顔を見、声を聴きながら対局するのでかなりリアルの対局に近い感触を持っている。これまで4回ほどトライアルで使い方に慣れて、現在は本格的なリーグ戦に入っている。

COVID-19の新規感染者数が殆ど無くなるまではこのような生活を続けていこうと思っている。

2020年8月9日日曜日

COVID-19の感染拡大は勢いが衰えた?

 マスコミは新規感染者数が増えているというが、私の感覚では先週の新規感染者数は思ったよりかなり少ない。東京は最大1日600人、少なくても500人以上と思っていたが、400人台だった。全国も2000人程度まで行くかと思ったが1600人どまりだった。先週と比べて感染者数の増加の勢いは下がっている。私の予想は等比級数で感染者数が増加するという想定だが、その意味では拡散は遅くなっている感じがする。
この理由は3つほど考えられる。
①国民が用心し始めて、感染拡大のペースが落ちた
②危ない人を狙い撃ちにする「濃厚接触者」の特定がやりにくくなってきた
③検査能力の限界に近づいてきて十分に検査ができなかった

おそらく、この3つとも起こっていると思うのだが、どれがどの程度寄与しているかは私には分からない。来週は学校も企業も夏休みになるので、検査自体も減少するだろう。新規感染者数はおそらく増えないと思う。再来週どうなるかで、上記①②③のどれが寄与しているかが見えてくるだろう。

政府は専門家会議を分科会に組み替えて自分たちに都合の良いように情報を発信しようとしているが、いくら小手先の情報発信をいじっても、感染が治まることは無い。感染が治まるかどうかは科学であり、表現を変えたからと言って変わるものではない。政府は医療体制を気にしているが、これは厚労省の問題意識だと私は認識している。私は感染が拡大しているか、収束に向かっているかが最も重要な要素だと思っている。

お盆の帰省についていろいろな意見が出ているが、これに関しては政府の言う「状況に注意して各自判断」ということで良いと思う。政府が「大丈夫」と言っても「自粛」と言っても個人によって事情が異なるので個人で判断すればよい。但し、日本人は政府がどういったかによって行動が大きく変わるので、その点には留意する必要がある。

テレビなどでは、「帰省するときの注意点」を専門家を呼んでいろいろ紹介しているが、これには私は不満を感じている。一般消費者の立場からすると、「自分が感染しているかもしれない」と思えばそもそも帰省はしないだろう。帰省するのは「自分は大丈夫」と思っているからである。それなのにテレビで紹介されるのは「帰省する人は感染している」という前提に立った行動指針である。これはなかなか受け入れられないだろう。消費者が知りたいのは「帰省中に自分が感染することをどれだけ避けられるか」ということであり、「他の人にうつさないように」というのはエチケットとしての行動だと思っている。

その意味で大きなリスクは、例えば「新幹線の隣のボックスにいる人たちがマスクを外して飲み会を始めたらどうするか?」ということである「。マスクは、不織布のマスクでも感染者のしぶきが飛んで来たらそれを防ぐ効果はあまりないと言われている。新幹線の中で飲み会を始めるような人たちは「危ない人たち」であり、注意して口論になれば一層リスクが高まる。席を異動するか、乗務員に止めさせるように言うかだが、乗務員は難しいだろう。指定席であっても勝手に席を異動してそのような人たちから遠ざかるのが最も現実的な解決法だと思うが、指定席でこのような咳の移動が許されるだろうか? 

私は車での帰省は安全度が高いが、新幹線での帰省はリスクが高いと思っている。テレビでこのようなことを語っているのを見たことがない。テレビで語られるお盆の帰省対策は外していると私は感じている。

2020年8月4日火曜日

自治体システムの統一は日本の長期低落傾向の歯止めになるかも

政府は自治体のITシステムの統一に乗り出すと報じられている。これは定額給付金の配布でマイナンバーを使って管理しようとしたが、自治体のシステムがバラバラでほとんど機能しなかった反省に基づいているという。私はこれは、うまくいけば先日紹介した日本の国際競争力が年々低下していることの歯止めになるかもしれないと言えるくらいの大きな話だと考えている。
以前にも書いたが、日本の長期低落の大きな理由はソフトウェア開発力の低さだと考えている。ここでいうソフトウェア開発力とは決まったアルゴリズムを実現するプログラム力ではなく、将来変わるかもしれない目標に、少しの手入れで対応できるように柔軟性を持たせたソフトウェア開発のことである。日本ではこの種の教育が決定的に欠けており、日本人技術者の能力が低いと考えている。
今回の自治体システムの統一でいうと、まず現状で各自治体がバラバラの作りをしており、皆自分のシステムを変えたくない。8割は共通の業務でも2割は異なっており、皆が納得するような機能を洗い出して整理するのは大変である。頭ごなしに一部の人が決めたシステムを押し付けると大きな反発を招く。日本人はこの種の整理やまとめもうまくないが、もっと大きな問題は出来上がった後の問題である。
この種のシステムは出来上がるまでに何年もかかかるが、完成したころには世界のシステムは先に進んでいる。エストニアの電子政府などは現時点で日本がこれから作るシステムよりも進んでいると思うが、出来上がる頃には更に進んだものになる。世の中のDXの進歩を見ればそれは確実である。このような現時点では見通せない将来の変化に対して、少しの手直しで対応できるように作る能力は日本人には極めて低く、また一から作り直すことになりそうである。この点を乗り越えることができれば、日本の長期低落傾向は止まると思うのだが、実際にそのようなシステムが作れるかと言うとかなり怪しい。
私はこのニュースを見た時、「誰が要求条件を作るのだろう?」「総務省にはできそうにないな」と思っていた。今日の新聞によると内閣府のCIOオフィスが司令塔になるようである。これならば人材をうまく集めればうまくいく可能性はある。しかし、現在のCIOは建設業界の大林組から来た人だそうで、それではこのシステム開発の指揮を取るのはまず無理ではないかと思っている。
現実には自治体の反発があって話が流れてしまう、というのが一番ありそうな話に思うが、ここは日本の将来のために極めて重要なところなのでぜひ日本の英知を集めて基本設計をしっかりやってほしいと思っている。

2020年8月3日月曜日

大相撲、照ノ富士の優勝に拍手

大相撲で幕尻(幕内で一番下位の力士)の照ノ富士が優勝した。大きく報じられているのでご存知の方も多いと思うが、彼は4年前くらいは大関で横綱候補の一番だった。しかし、膝の怪我と糖尿病で休場が続き、地位はどんどん落ちて、序二段まで下がった。そこから復活して、今年の3月場所で幕内復帰を果たし、5月場所が中止になったので今場所は幕内の一番下で相撲を取っていた。
上位力士とは当たらない地位なので当然のように勝ち進み、優勝候補に挙がってきた。一方で上位陣は横綱鶴竜、大関貴景勝、横綱白鵬と相次いでトップ力士が休場したので、急遽、上位力士である大関朝の山、関脇正代、関脇御嶽海との取り組みが決められた。この3人は横綱を除くと現在実力トップの3人であり、横綱の二人は実力はあるものの下り坂で今年中に引退するだろうと私は考えている。
今回の上位3人と照ノ富士の相撲は、朝の山と御嶽海には勝ち、正代には負けて二勝一敗であるが、内容を見ると朝の山と御嶽海は、「強いとは言っても幕内の一番下なのでまともにぶつかれば勝てるだろう」と考えてまともにぶつかった結果、力負けした感じであり、正代は「相手のほうが力が上だ」と考えて思い切って取ったという印象である。
照ノ富士は今回の優勝で次回は幕内上位に上がり、横綱をはじめトップ全員と当たる地位に来るだろう。今回の彼の優勝で皆、「照ノ富士の実力は大関並み」と認識して、負けても良いから思い切った作戦で臨んでくるので次回は今回ほど勝てないと思うが、それでも10勝くらいはすると思う。私としては早く彼に大関に昇ってもらい、白鵬引退後の横綱になってもらいたいと思っている。
心配は今年、9月場所と11月場所が開催されるかどうかだが、無観客なら開催できるだろう。最後にもう一度
照ノ富士関、おめでとう! パチパチパチパチ!!

2020年8月1日土曜日

COVID-19の国内パンデミック

COVID-19の一日当たりの新規感染者数は、東京で500人弱、全国で1500人強になった。東京だけでなく感染が全国に拡大してきたと見るべきだろう。新規感染者数の発表は実際のウィルス感染から10日から2週間遅れていると考えられるから今すぐに手を打ったとしても8月上旬の新規感染者数がさらに増加することは避けられない。
私はお盆のころまでに東京で1日1000人、全国で1日3000人レベルになると思っている。今でも傾向が出始めているがその頃になると検査能力の限界に近づいてきて、「体調が悪いのに検査してもらえない」という声が連日報じられるようになるだろう。そうなると発表される感染者数は実態とどんどん離れてきて、発表される感染者数はそれほど増えないが実際の市中感染はどんどん増えるという状態になりヨーロッパのような本格的なパンデミックになると思っている。但し政府は発表される感染者数が増えないことを理由に「パンデミックではない」と言い張るかもしれない。
政府は「緊張感を持ってみている」とか「憂慮すべき状態だ」とか言っているが実際にやっていることはアベノマスクの再配布とか、Go TO Travelから東京除外とかいった感染防止には役に立たなそうな手しか打っていない。私はこれは厚労省の医療官僚の問題だと思っている。専門家会議を廃止にして分科会として再組織して、御用学者を集めて「専門家の意見を聞いた」という責任逃れの体制を作ってはいるが、感染は科学なのでいくら責任逃れの発言をしても感染が減らないのは明らかである。トランプ氏が「中国の責任だ」と責任逃れを言ったところで米国の感染が治まらないのと同様である。
私は検査を徹底することで感染を抑えられると考えているが、安倍総理は4月時点で「検査能力を1日2万人にする」という低い目標を語った。私は4月8日に「1日10万人を目標にすべき」と書いたが、仮に5月中旬で1日10万人の検査ができて検査を徹底していればもっと感染の広がりを抑えることができたと思う。現在は1日3万人程度の検査能力になっているとのことなので安倍総理の「2万人」は目標ではなく「これくらいならできる」という官僚からの報告を受けてな発言だと分かる。政治家の役割は官僚に目標を示すことである。現政権はそれができていない。
今からでも検査能力はできる限り増やすべきである。しかし、既に1日10万でも不足で、1日100万を目標にするべきだろう。今の進め方では間に合わないだろう。8月末まで特に手を打たなければヨーロッパのように都市封鎖をしない限り、日本はインドを超えてアジア最悪の感染大国になることが予想される。