安倍総理の緊急事態宣言の記者会見を見た。緊急事態宣言自体は良いもので必要なものだと思う。具体的にどの業種に休業を求めるかについては東京都と日本政府の間でまだ調整がついておらず、今週いっぱいの調整となるようであるが、具体的な行動指針が出るので、意味は大きいと思うし、もっと早く出すべきだったと私は感じている。
質疑で気になったのは「欧米に比べて罰則のない弱い制約だが、うまく行かないときにはさらに強化するような考えはあるか?」という質問に対して「国民が要請を守ってもらえば感染はピークアウトする」という回答で、答えていない。要するにうまく行かないことは想定していないということだと理解した。これは日本のリーダに共通の特徴だと思っている。これでは状況が刻々と変化する戦争は戦えない。
私はうまく行くかどうかは、五分五分よりもややうまく行かない可能性のほうが高いくらいだ、と思っている。その理由は今後1週間くらいの間で感染者数はかなり増えるはずであり、これまで行ってきた怪しい人を狙い撃ちで調査する「クラスター追跡」が実質的に不可能になる可能性が高いと思うからである。
安倍総理の今回の具体的方針で一番問題だと思うのは「PCR検査の能力を1万から2万に増やす」という発言である。仮に欧米のように感染爆発が起こったとすると1日に数千人の感染者が見つかる。これを把握するには1日10万人の検査能力は不可欠である。おそらく10万は実現の見通しが立たないという報告を受けているのだと想像するが、中国、韓国、ドイツ、米国ではこのレベルができているので、総理が指示を出せば、時間はかかってもいずれ実現するだろう。総理の指示がないと2万しか用意しないので、「クラスター追跡は無理」と分かった時点で動き出すことになるだろう。検査能力の向上はさらに遅れることになる。
質問側で気になったのはNHKの「緊急事態宣言は遅すぎたという声があるが・・・」という質問である。これは宣言が出る前に「早く出せ」とあおる意味で言う意味はあるが、宣言の質疑で出すべきではない。出したことに対する進め方、あるいは問題を指摘して、どうやればうまく行くかを検討するのが現時点で必要なことであり、反省は1年後に事態が収まってからゆっくり検討するべきことである。NHKはこれまで「早く出せ」とあおってもいなかったのに、質疑の場でこのような質問をする評論家意識が気に入らなかった。
これでうまく行ってくれることを祈るが、一週間後には東京都で500人、日本全体で2000人が1日に感染発覚して、クラスター追跡は不可能という事態に備えることは政府としては不可欠だと思う。
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