2025年6月6日金曜日

日本経済の凋落が止まらない (8)現実的な対応は

 日本経済の凋落が加速すると言っても、急に不景気になるとは思っていない。2022,23年の円安で日本の競争力は高まっているので、その余力で今後2-3年は現在とあまり変わらない状況が続くと思う。その後はスタグフレーションになると思うが、その状況にどう対応するかでその後の日本の状況は大きく変わると思う。いずれにせよ日本全体にかかわること、状況認識として重要であるが、国全体の動きはブログに書いたくらいでどうにかなるとは思えないので、以下には個別企業の対応について考察する。

個別企業の対応はシンプルである。自分の会社がイノベーションに強くなればよい。国内を主な活動の場とする企業にとっては周囲のイノベーション力が低いので、トップが舵を切れば比較的容易にイノベーションに強い企業になれると思っている。世界と戦っているトヨタや日立などは苦戦すると思うが、既に必死で取り組んでおり、私がコメントする必要もないと思う。

イノベーション力を高めるのに重要なことは多岐にわたるが、最も重要なのは個別の施策よりも企業風土だと思う。社員全体がイノベーション力の強化に向かっている企業は強くなるはずだと思う。実際そのような企業のあるようである。企業風土に最も影響の大きいのは人事政策だと思う。イノベーションを起こす力のある人が昇進するような仕組みが不可欠だと思う。

日本企業は長年続けてきた年功序列の昇進方式から離れようとしている。多くはジョブ型と呼ばれる業績評価に向かっているが、私は重要なことは各社員をきちんと評価してそれを伝えることだと思っている。その評価基準としてこれまでは年齢が大きな要素だったわけだが、それを年齢から売り上げなどの計測が容易な指標に切り替えるのではだめだと思っている。研究者なら特許件数とか、論文件数とかがこの種の指標になるわけだが、実際の活動内容を分析して評価すれば異なった評価が出てくることが少なくない。私の経験では個人の人事評価を複数の人物が議論して評価を決めれば評価ミスは少ないと思う。

日本人は相手にとってマイナスになることを伝えることに強い抵抗感を持つ人が多い。就職の不採用とか降格とかをできるだけ口頭で伝えることをせずに相手の見えないところで伝えようとする。このマインドが良くないと私は思っている。相手にとって良くないことでもどこが良くないかを指摘して納得させる能力が重要だと思っている。日本企業では降格は極めて少ないが、一部には降格をそれほど例外的なことではない状態の企業もある。それで降格にされた人が不貞腐れるのではなく、試合に負けたような受け止めで、「次は能力を高めて頑張るぞ」と思うような企業は強くなる。降格の多い企業は抜擢も多くなる。良い企業風土とはこういったものだと思う。鍵は人事評価を説明責任をもって行うことで、私はこれを公務員に対してぜひ導入してほしいものだと思っている。

ここまで書いてきた一連の「日本経済の凋落は止まらない」というブログはここでいったん打ち止めにしようと思う。今回は経済に焦点を当てて考察したが、経済は国家の一部の指標でしかなく、本来は「どのような国が良い国か」という哲学が重要だと思う。一部の支配層にとって都合の良い哲学ではなく、国民全体が生き生きと活動できる国にするには何が重要か、私自身の中でもまだもやもやしている。

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