2025年6月4日水曜日

日本経済の凋落が止まらない (7)今後10年間日本経済の凋落は加速する

 今回のテーマが私がこの一連のブログを書き始めた動機である。

今後10年間、私は日本経済の凋落(国際競争力の低下)は下げ止まるどころかむしろ加速するだろうと思っている。その理由はAIの社会への広範囲な浸透である。AIが今後社会の至る所で利用され、急速に普及することはほぼ疑いない。日本はAI導入に送れるだろうが、それだけではなく、AIの影響も日本にマイナスに働くと思う。AIは主にホワイトカラーの仕事を奪う。ホワイトカラーの5分の1程度はAIを利用する側に回りより豊かになるが、5分の4は職種転換を余儀なくされるだろうと予測している。

既に述べたように日本ではブルーカラーが強く、ホワイトカラーは弱い。ブルーカラーの仕事を広範囲に置き換えるにはロボットが必要なのでまだ数十年先になると思っている。日本の強いブルーカラーへの影響が少ないのならむしろ日本にとって都合が良いのではないかと考えるかもしれないが、むしろ逆だと思っている。その理由は給与水準がホワイトカラーのほうがブルーカラーよりも高いからである。

給与水準の高いホワイトカラーの需要が国全体として下がる。さらにデジタル赤字で外国企業のシェアが上がるので多くの日本企業のホワイトカラーは接客や肉体を使う仕事のようなAIが入りにくい職種への転換を余儀なくされるだろう。このようなAI化の進みにくい職種の付加価値を高めて給与水準を高めることが急務である。それができない企業は競争力が下がるし、国全体では社会不安につながるおそれがある。

現在日本ではリスキリングが注目されているが、言葉からして欧米で作られた概念であることは疑いない。現在のリスキリングはAI活用といった方向を目指しているように思うが、AI活用の人材は需要が小さいので、全ての人がそちらに向かうことはできない。AI活用に転ずることができない人が大量に発生することを前提にリスキリングプログラムを考えるべきだと思う。

AI導入が10年で終わるとは思わないが、10年も経つと導入は一巡し、社会の対応力も付いてくるので、AIの影響は下がってくると思う。AI失業はピークを打ち減少に転じると思う。それからが日本経済が底打ちするチャンスだと思う。AIのブルーカラーの仕事への浸透はゆっくりとしか進まないし、日本企業のイノベーション力も向上に向かう時期だと思う。但し、これは今から日本全体でイノベーション力の向上に取り組み始めたという前提の上である。

私の予想通りに社会が進むとすれば国全体で様々な問題が生じると思うが、私が特に気にしているのは年金予算の枯渇である。増税をしない限り年金を減らすことはやむを得ないことになるだろう。10年後には私は84歳、余命はそれほど長くないので年金を減らされても何とかなると思うが、問題は就職氷河期世代である。彼らが年金を受け取る時期になっており、ここでも彼らは不遇となる。この対策は不可欠だと思う。結局、この対策には増税しかないだろう。増税できる手段としては分離課税になっている投資による所得を給与所得などとして合算する総合課税化しかないのではないかと思っている。いろいろ批判されているマイナンバーカードはそのための手段だと思っている。

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